誰もが欲しがるゲームブック?
何か堰を切ったように、各所でゲームブック語りが行われておりますね。
さすがは裏通信効果。
ダイレクトな声はそれだけ人の心を動かすものだと思います。
だからこそ、私としては『魔人竜生誕』の作品としての位置付けをもう少し明確に、酒井さんの言葉で公式サイト上にぶつけて欲しいと思っています。
新作はもっと軽いシステムにしたらどうだろうかという意見(私もそう思っておりました。)に対し、酒井さんの
>何より、21世紀に再び開幕する、ゲームブックの新世紀年表の一番上に名を残す作品が重厚な造りで何故悪いのか、という思いが編集者にもあったんです。商業判断としてはそこに問題があったかもしれませんが、編集者はやはり商売よりクリエイター魂の方が前にくる人間なもので、ゴーということになりました。
こうした熱い気持ちをもっとストレートに出せば、感じてくれる人たちはきっといると思うのです。
むしろ、Wizardryの商品説明とかガレージキットのパッケージにある「この作品は上級者向けです」みたいな方向付けでも良いくらいだったのではと思ってしまったほどです。
では、どんなキャッチコピーをつけるのか?
「新世紀に訪れたゲームブックの新たなる幕開け!
歴代全ての作品すら超越する重厚なシステム、
そしてマルチエンディングを超えたマルチストーリー……
【上級者向け】完全新作オリジナルゲームブック 『魔人竜生誕』
「きみ」にこの挑戦が受け止められるかッ!!」
……いや、私にコピーライター資質がないのはよく分かりました。
じゃあ、しかるべき許可とってコレでお願いします。
「ピーキーすぎてお前には無理だよ」
・はしもとさんの記事より
http://d.hatena.ne.jp/no45/20061215/gamebook
>『魔人竜生誕』は、ある程度やりこめる人にとってはコストパフォーマンスが高い作品だ。
>しかし、ゲームとして少し煩雑であるため、結構な数の人がコストパフォーマンスの高さを想像するだけで終わっている可能性がある。
>そもそも、宣伝不足のため『魔人竜生誕』のコストパフォーマンスが高いという情報が、それを必要としている人に伝わっていない可能性も高い。
つまり、『魔人竜生誕』はレースカーなんですよ。それも間違いなく一級品の。
ただし、玄人向けカリカリのチューンマシン(高レベルでまとめられたシステムや構成)なのに外装はファミリーカー(非ハイファンタジーの現代モノ、特撮モノ)です、みたいな。
サーキット走行するほどやり込む人には「その外装がちょっと……」と言われ、初めて車買いに来た人が軽いノリで試乗してみたら「え、MT限定?しかも6速?っていうかハンドル重すぎて運転できないよ」と挫折され……。
宣伝不足について「それを必要としている人」=「多少ある敷居の高さを乗り越えてくれるだろう、ある程度やりこめる人」だと解釈するとき、はたしてそういった人たちはネットでの書評をどのくらい参考にするのか?というのが気になりますね。
はしもとさんや他の皆さんの書かれた記事が、実際は下手な広告より相当の宣伝になっているという考え方もできるわけで、意外と必要な情報は世に知れている可能性もあるのではと。
「まだわからないのか!この一連の盛り上がりこそ、魔人竜の宣伝のための暗黒教団の陰謀だったんだよ!!」
「な……なんだってー!!」
・師走さんの記事より
http://orsinian.blog.ocn.ne.jp/gb/2006/12/_adventure_game_526b.html
>良い物を作っても、それが全ての人に受けるとは限らない。ましてや売上には繋がらない事がしばしばだ。創土社ゲームノベルの現状を表すのに、これほど的を射た言葉も他にない。
いや確かに。でもこれは今の現状を指す状態であって、これからもそのままでいる必要はないわけです。
せっかくのすばらしい作品をどう広めていくか、少なくともその重要な役割の一つを、師走さんの記事が果たしてくれていると私は考えるのですが。
・ドロシー!さんの記事より
http://parahaza.seesaa.net/archives/20061208.html
>ぼくは正直、この文章が、剣と魔法ではない舞台の面白さや、骨太なフラグ管理の先にあるカタルシスを説明しているようにはとても思えません。
>そしてなによりも、「魔人竜生誕」というタイトルに魅力を感じません。
>本当に売上げを気にしているのなら、ちゃんとマーケティングし、ターゲットにあった商品を供給する以外にないでしょう。
>ちなみに、「魔人竜生誕」が売れなかった理由を、ぼくは以下のように考えています。
>
>「21世紀のユーザーに訴求するゲームブックが提示できなかった」
サイトでの紹介についてはまさに同感です。(サイト更新だって、喜んで協力する有志がいくらでもいそうなものですが)
タイトルは、最初は私も「ちょっと一般向けとしてはキビシイかな」とも思いました。ただ、表紙絵の仕上がりを見たとき個人的には菊池秀行っぽくてこれはこれでいいと思いましたが。
後半は、”現時点の市場で「売れる」(商業的に成功する)ゲームブックとしては『魔人竜生誕』が最適解ではない”という意見かと思います。
ただ、「売れる」作品テーマやシステムを絞り込み、それに合ったものを提供していくという手法(マーケット主導)は、作り手を発掘し本物のゲームブックを蘇らせたいという創土社の命題の幅を狭めてしまう点で、現状では難しい気がします。(売れるというだけの萌えエロ路線で中身のない作品は創土社の取り扱い範疇外、でしたっけ。)
それでも、ビジネスとして成り立たなければ結果としてゲームブックという文化の火は尽きてしまうのだし、そのバランスが難しいですよね。(伝統工芸を題材にしたそんな感じの映画があったような。)
「売れなかった」理由は、酒井さんがご自身で書いているように「ビジネスとしての成功よりも作品としての成功を優先したこと」だと思われます。ただ、私もその判断は間違っているとは思いません。作品としては本当にすばらしい出来なのです。
・ププププーさんの記事より
http://plaza.rakuten.co.jp/poopoopoosan/diary/200612160001/
>そういう意味では魔人竜生誕は、作家性を最大に出したという点で非常に評価したいゲームブックです。
>残念だけど、これが売れるだろうとは読みにくいですよね。半裸の姉ちゃん出ないし。
>でも、間違いなく2006年に出た力作なんです。
この意見が一つの総括だと思います。
だからこそ、幅広い層にアピールして新規顧客を獲得するというより、ディープなゲームブッカーにやり応えや手強さをアオってチャレンジしてもらう方が効果的ではないかと思います。
いずれにしろ現状のパイは限られているハズですので。
ただ、実はその限られた濃いゲームブッカーはちゃんと全員購入していてなおこの結果、という可能性もあったりして……。
ともあれ、新版ドルアーガについてはまた別の話でしょうね。
ドルアーガファンでゲームブックを知らない人がいればいるほど、新規参入者を増やす絶好のチャンスなのですから。
そいういった意味では、今回は浅くとも広い流布活動で是非とも裾野を広げて行って欲しいものです。
そしてその中から、ゆくゆくはより高度な作品を求めて『魔人竜生誕』に進む人も出てくるハズです。
長い目でみた購買層の変遷などを追うことが出来れば面白そうですね。
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コメント
トラバありがとうございました。
>nyadachさん
ちょっと長くなっちゃったので、次のエントリーで。
>もつなべ太郎さん
「オレならこうしたい、というかオレならきっと正解を出せる
早くオレが選んだ(正解の)続きのパラグラフを読んでみたい」
実にイイ表現ですね!
私が思うゲームブックのキモの部分って、まさにコレなんですよ。
あと、逆にワザと「これ選んだら絶対失敗だよなあ」と思いながらもあえて見てみたいとか。(笑)
ゲームブックを売るための怒涛のアイデア、効果の期待できそうなものがあっても、現実には広告費のかかる方法はなかなか難しそうですね……。
投稿: ephemeris | 2006/12/21 01:58